気が向いた時に適当に。
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其の意味は、
フェンリルに就いてから、初めての帰宅で。
家に入って直ぐに、母さんが居ない事は解った。
幸いと言えば幸いだ…何があるか解らないから。
その侭、一直線に寝室に足を向ける。
中には部屋の主が居る筈だけども…。
「兄貴…」
そっと部屋の扉を開ける。
すると、ベッドの上で寝ている兄の姿が見えた。
「ん、あれ…マヤ!」
無音の空間だから、多少なりでも音がしてしまったのだろうか。
早々、俺に気付いた兄…ヒダカは、ベッドから上半身を起こし、とても嬉しそうな表情でこっちを向いた。
「お帰り」
「ただいま。起きてたんだ?」
「うん」
ベッドから出て来ない理由は解っている。
俺は兄貴の傍まで近寄って、ベッドに腰掛けた。
「…あれ、マヤ、前よりも綺麗な色に見えるね、瞳」
前も綺麗だったけど、と言いながら、兄貴は俺の頬に手を添え、その侭顔を近付けて、まじまじと瞳を覗かれる。
必然的に目が合う形になり、こういうのが苦手な俺は少し程、恥ずかしくはあった。
「…そう?」
「うん! なぁに、神機使いになるとそういう変化もあるの?」
良いなー、なんて何度も口に出しながら、兄貴は相変わらず俺の瞳を見つめている。
「…兄貴」
声を掛けるが、止める気配は無かった。
「俺もなれれば、マヤとお揃いになれるかな?」
ぽつり、と不意に兄貴の口から漏れたその言葉を聞いて、はっとする。
それとほぼ同時に、俺の頬に当てられていた手が、俺の右手首に嵌められている赤い腕輪に触れた。
神機使いの証である、それに…。
「マヤ?」
ふと、嬉しそうだった兄貴の表情が不安気に変わる。
まずったな、と思ったけど、それはもう、遅くて。
「…ヒー兄は、あんな所に居ちゃいけないよ…」
如何すれば良いか解らなくて、無意識に思った事を、その侭口にしていた。
自分でも、良く解らない事を口走ってると、そう感じた。
思考が上手く回らない。
「如何して?」
「……それは…」
すれば、直ぐに疑問が返ってきて。
上手く言葉に出来なくて、どもってしまう。
相変わらず、俺はこういう時の言葉探しが下手だと、つくづく思う。
暫く黙っていたけど、その沈黙を、兄貴が破った。
「いつ死ぬか解らない、とか…身体が弱いから…とか、そんなの、如何でも良いじゃない」
辛そうな声色だった。
「俺はマヤとずっと一緒に居たいんだよ? マヤは…違うの…?」
再度、頬に手を添えられ顔を近寄せられる。
互いに互いの吐息が顔に掛かる程、近くに。
「そんな事無いよ…違わない…けど」
「…うん、マヤ…」
多分、解っていた上で訊いてきたのだろう。
その後に、更に顔を寄せられ、その侭、唇を重ねられた。
兄からの口付けの意味は、大抵、「心配しないで」と、「心配掛けてごめん」の、どちらかだった…。
家に入って直ぐに、母さんが居ない事は解った。
幸いと言えば幸いだ…何があるか解らないから。
その侭、一直線に寝室に足を向ける。
中には部屋の主が居る筈だけども…。
「兄貴…」
そっと部屋の扉を開ける。
すると、ベッドの上で寝ている兄の姿が見えた。
「ん、あれ…マヤ!」
無音の空間だから、多少なりでも音がしてしまったのだろうか。
早々、俺に気付いた兄…ヒダカは、ベッドから上半身を起こし、とても嬉しそうな表情でこっちを向いた。
「お帰り」
「ただいま。起きてたんだ?」
「うん」
ベッドから出て来ない理由は解っている。
俺は兄貴の傍まで近寄って、ベッドに腰掛けた。
「…あれ、マヤ、前よりも綺麗な色に見えるね、瞳」
前も綺麗だったけど、と言いながら、兄貴は俺の頬に手を添え、その侭顔を近付けて、まじまじと瞳を覗かれる。
必然的に目が合う形になり、こういうのが苦手な俺は少し程、恥ずかしくはあった。
「…そう?」
「うん! なぁに、神機使いになるとそういう変化もあるの?」
良いなー、なんて何度も口に出しながら、兄貴は相変わらず俺の瞳を見つめている。
「…兄貴」
声を掛けるが、止める気配は無かった。
「俺もなれれば、マヤとお揃いになれるかな?」
ぽつり、と不意に兄貴の口から漏れたその言葉を聞いて、はっとする。
それとほぼ同時に、俺の頬に当てられていた手が、俺の右手首に嵌められている赤い腕輪に触れた。
神機使いの証である、それに…。
「マヤ?」
ふと、嬉しそうだった兄貴の表情が不安気に変わる。
まずったな、と思ったけど、それはもう、遅くて。
「…ヒー兄は、あんな所に居ちゃいけないよ…」
如何すれば良いか解らなくて、無意識に思った事を、その侭口にしていた。
自分でも、良く解らない事を口走ってると、そう感じた。
思考が上手く回らない。
「如何して?」
「……それは…」
すれば、直ぐに疑問が返ってきて。
上手く言葉に出来なくて、どもってしまう。
相変わらず、俺はこういう時の言葉探しが下手だと、つくづく思う。
暫く黙っていたけど、その沈黙を、兄貴が破った。
「いつ死ぬか解らない、とか…身体が弱いから…とか、そんなの、如何でも良いじゃない」
辛そうな声色だった。
「俺はマヤとずっと一緒に居たいんだよ? マヤは…違うの…?」
再度、頬に手を添えられ顔を近寄せられる。
互いに互いの吐息が顔に掛かる程、近くに。
「そんな事無いよ…違わない…けど」
「…うん、マヤ…」
多分、解っていた上で訊いてきたのだろう。
その後に、更に顔を寄せられ、その侭、唇を重ねられた。
兄からの口付けの意味は、大抵、「心配しないで」と、「心配掛けてごめん」の、どちらかだった…。
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